<はじめに>
膵胆道病変において、内視鏡的逆行性膵胆管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography ; ERCP)を用いた経乳頭的膵管・胆道生検は良悪性の診断に重要な役割を果たしています。
進展度診断を目的としたマッピング生検は、その後の治療方針を決定するために重要です。
そのため、胆膵を専門とする内視鏡医にとって、ERCPを用いた経乳頭的膵管・胆道生検は習得すべき検査法ですが、決して簡単な手技ではなく、以下に示す多くの問題が存在します。
①内視鏡的乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy ; EST)を時に必要とする。
②陰性生検を含めた生検では、複数回の生検鉗子の挿入により主乳頭への負担が増える。
③生検鉗子のみの挿入では、狭窄部の突破や目的部位への到達が困難な場合がある。
④主病変を通過することによる組織混入の恐れがある。
上記の問題が影響し、検査時間の延長、主乳頭への負担増加などにより膵炎、胆管炎、出血、穿孔などの重篤な偶発症が発生する可能性があります。
ERCPガイドシース(オリンパス社製)は、このような問題を解決し手技の汎用性を高めることが期待されていますので、使用経験を踏まえて紹介したいと思います。