胃食道逆流症・逆流性食道炎により食道の扁平上皮が円柱上皮に置換されたBarrett食道に発生する腺癌。
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1.内視鏡診断
早期発見のためには、通常内視鏡観察でわずかな発赤所見と粘膜表面の不整所見に留意する。
SSBE(short segment Barrett esophagus)では、好発部位である粘膜境界(squamocolumnar junction;SCJ)の前壁から右壁の観察が特に重要である(Fig.1a)。
Fig.1a SSBE前壁に発赤調粗造粘膜を呈するBarrett腺癌を認める。
同時多発病変も存在することを念頭に置き、観察する(Fig.1b)。
Fig.1b 反転での色素内視鏡観察では肛門側境界は不明瞭である。
平坦病変が多いため範囲診断に苦慮する場合には、色素内視鏡だけでなく、適宜生検診断やNBI(narrow band imaging)併用拡大観察(Fig.1c)、酢酸散布による観察(Fig.1d)を行う。
Fig.1c NBI併用拡大観察では境界は明瞭である。
Fig.1d 酢酸併用観察でも境界は明瞭である。
深達度は、平坦およびわずかな隆起・陥凹であれば基本的に粘膜内病変、凹凸不整が目立ち、緊満感や硬さを有するくびれのない隆起性病変であれば粘膜下層浸潤と診断する。
2.組織診断(Fig.2)
病理組織学的には、胃型粘液形質優位で構造異型や細胞異型が弱い低異型度高分化型管状腺癌が多い(Fig.2a,b)。
Fig.2a 低異型度高分化型管状腺癌
Fig.2b MUC5ACおよびMUC6陽性,MUC2弱陽性であり胃型優位の胃腸混合型粘液形質
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欧米ではランダム生検にてdysplasiaを認めないものは3~5年に1回、low grade dysplasiaを認めたら年2回、high grade dysplasiaを認め治療をしない場合には3か月ごとの内視鏡観察が推奨されているが4)、本邦では欧米と異なりSSBE症例が多く疾患背景が異なるため、今後の検討が必要である。
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Helicobacter pylori(H.pylori)感染率の低下、胃食道逆流、喫煙、肥満がその原因と考えられる。
Barrett食道からの発癌は年0.1~0.5%と報告されている6)7)。
米国では食道癌に占める割合は60%以上であり、特に白人男性に多い。
本邦でも増加が危惧されているが、食道癌に占める割合は約2.4%程度である8)。
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1)Ortiz-Fernandez-Sordo J,Parra-Blanco A,Garcia-Varona A,et al.Endoscopic resection techniques and ablative therapies for Barrett’s neoplasia.World J Gastrointest Endosc 16: 171-182,2011
2)Dunbar KB,Spechler SJ. The risk of lymph-node metastases in patients with high-grade dysplasia or intramucosal carcinoma in Barrett’s esophagus: a systematic review.Am J Gastroenterol 107: 850-862, 2012
3)西 隆之,幕内博康,小澤壯治,他.Barrett腺癌の臨床病理学的検討―当科45例と本邦報告656例の検討―.消化器内視鏡 21:1199-1206,2009
4)Wang KK,Sampliner RE.Updated guidelines 2008 for the diagnosis,surveillance and therapy of Barrett’s esophagus.Am J Gastroenterol 103: 788-797, 2008
5)Lund O,Kimose HH,Aagaard MT,et al.Risk sratification and long-term results after surgical treatment of carcinomas of the thoracic esophagus and cardia.A 25-year retrospective study.J Thorac Cardiovasc Surg 99:200-209,1990
6)Sikkema M,de Jonqe PJ,Steyerberg EW,et al.Risk of esophageal adenocarcinoma and mortality in patients with Barrett’s esophagus:a systematic review and meta-analysis.Clin Gastroenterol Hepatol 8:235-244,2010
7)Hvid-Jensen F. Incidence of Adenocarcinoma among Patients with Barrett’s Esophagus. N Engl J Med 15: 1375-1383,2011
8) Ozawa S, et al: Comprehensive registry of esophageal cancer in Japan, 2002. Esophagus. 7: 7-22,2010
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