便秘診療において、「恥骨上膀胱プローブによる直腸径測定」は直腸便貯留の評価に有効ですが、これだけでは超音波の能力を十分活用できません。
大腸全体の便貯留状況、腸閉塞の有無、狭窄性大腸癌の鑑別を含む包括的評価が必要であり、そのためには畠 二郎先生(川崎医科大学)が提唱する大腸系統的走査法の習得が基本となります。
大腸壁の超音波解剖
消化管壁は内側から白・黒・白・黒・白の5層構造で描出され、それぞれ境界エコー・粘膜・粘膜下層・固有筋層・漿膜におおむね相当します(Fig.1)。
Fig.1. 胃の短軸像.
内側から第1層(白:境界エコー)、第2層(黒:粘膜層)、第3層(白:粘膜下層)、第4層(黒:固有筋層)、第5層(白:漿膜)の5層構造で描出される。
この層構造の理解が病変検出の基礎となります。
各部位の系統的観察法
◾️上行結腸
上行結腸は右腹部の最外側にある消化管です。右側腹部横走査にて最外側(最も右側)にある高エコーのガスと便を包む管腔を探します(Fig.2)。