命にかかわる大腸閉塞に気づく
外来での便秘診療において、見過ごしてはならない重要な疾患が大腸閉塞です。
2~3日前から便が出ない、突然に便秘となり腹痛を伴うという主訴で来院される患者も多いですが、一方では下痢が続くと訴えて受診される症例の中にも、実は大腸閉塞が潜んでいることがあります。
大腸閉塞による下痢の特徴的な症状は、「少量の液状便しか出ない、腹痛を伴う、残便感がある」という三徴候です。
閉塞の原因は、大腸癌、糞便による腸閉塞、結腸捻転、腸重積など多岐にわたりますが、最も大切なのは「大腸閉塞に気づく」ことです。
診断の遅延は患者の生命予後に直結するため、外来でのスクリーニングは訴訟回避の観点からも極めて重要です。
典型的なエコー所見と診断アプローチ
大腸閉塞の典型的なエコー所見は、拡張した腸管内に液状化した便が浮遊するように流れるパターンです。
閉塞により便が液状化する正確な機序は解明されていませんが、経肛門的にイレウス管を挿入すると大量の液状便が排出される臨床経験は、多くの医師が重ねてきたことでしょう。
閉塞を疑った場合の診断アプローチは、肛門側に位置する拡張腸管と虚脱腸管の移行部(caliber change)を丁寧に探索し、その部位を拡大観察して原因を特定することです。
ただし、臨床経験から言えることは、大腸癌による狭窄・閉塞とは異なり、宿便性腸閉塞では閉塞起点を特定するのが困難なことが多いということです。
原因が判明しなくても、大腸閉塞は緊急性が高いため、確認した時点で速やかに対応可能な医療施設に紹介する必要があります。
症例から学ぶ実践的診断プロセス
症例1:60代女性(Fig.1)
1週間前から便のコロコロ化に気づき、2~3日前から排便途絶。
某医でセンナを投薬された直後に腹痛と嘔吐が出現した。
坐剤投薬後も排便なく症状が持続したため、当院を受診された。身体診察では下腹部に軽度の圧痛を認めた。