1.体位変換で読み取るポリープ診断

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■ 症例

60歳代男性、直腸ポリープ。

Fig.1はバーチャル内視鏡(仰臥位)です。
大きさは7~8mmのIsp型ポリープです。半球状ではなく、付着部は広基性のようにも見えます。腺腫、腺癌でしょうか ?  広基性の腺癌だとしたら、粘膜下層に浸潤する癌でしょうか??


Fig.1 バーチャル内視鏡(仰臥位) 


そこで、大腸CTの強みを活かして、体位変換での変化を確認します。
*大腸CTでは残液による病変埋没の可能性があるため、仰臥位・腹臥位(180度回転)で撮影することが一般的です(Fig.2は別の症例です)。



Fig.2 体位変換での大腸CT像の変化(別の症例)


では、本症例での仰臥位、腹臥位の画像を確認しましょう(Fig.3)。


Fig.3 本症例における体位変換での大腸CT像の変化


 

これでは病変の位置が反転してわかりにくいので、腹臥位の画像を回転させて体の向きを合わせます(Fig.4)。


Fig.4 Fig.3の腹臥位画像を180度回転させた場合 

 

これでポリープの位置関係が同じ状態になりました。さらに三次元で見てみましょう(Fig.5)。


Fig.5 三次元画像(仮想注腸X線)

 

体位変換により、ポリープの向きが変わりました。すなわち、このポリープは粘膜に広く付着した広基性病変ではなく、基部がくびれた形態ということが想像されます。
したがって、浸潤癌ではなく、Isp型の腺腫もしくは腺腫内癌相当が示唆されます。

では、リアル内視鏡と対比してみましょう(Fig.6)。

      
Fig.6 バーチャル内視鏡(Fig.1再掲)とリアル内視鏡の対比 


病変はやや凹凸不整の目立つポリープですが、基部はくびれておりIsp型ポリープと診断できます。EMR(内視鏡的粘膜切除術)により切除され、病理組織は管状腺腫でした。

 

■ Tips

バーチャル内視鏡は、リアル内視鏡と異なり、空気量による伸展性の評価や鉗子による可動性の評価をすることはできません。一方で、原則として2体位で撮影しますので、それらを対比することで病変の性質を類推でき、(リアル内視鏡前に)内視鏡治療適応の判断が可能です。

 

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