我が国における大腸がん検診の現状
我が国において、大腸癌は罹患数第1位(年間約15万人)、死亡数第2位(年間約5万)であり、国の対策としてがん検診が定められています。
がん検診は大きく、対策型と任意型に分けられますが、大腸がんにおいては、有効性に基づく対策型検診として、40歳以上の国民に免役便潜血検査(FIT)を行っています。
大腸がんが多い状況で、大腸がん検診はどう機能しているのか、気になるところだと思います。
Fig.1に我が国におけるがん検診全体の受診率を示します。

Fig.1 がん検診受診率の推移
2022年の大腸がん検診受診率は、男性49.1%、女性42.8%であった。
〔がん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センター)より〕
大腸がん検診の受診率は、増加傾向にあるものの、対象者の半数も受けていない状態です。
対策型検診の中には、地域(住民健診)と職域(職場検診)があるため、全容は把握できませんが、国の目標値である60%には届いていません。
大腸がん検診陽性で見つかる大腸癌の頻度は?
2019年のデータ1)では、大腸がん検診を受けた約450万人のうち、陽性者は約26万人で、そのうち精密検査の大腸内視鏡を受けたのは約15万人でした。
その中で実際に大腸がんが発見されたのは約5700人です。すなわち、精密検査を受けたうち大腸がんが見つかる確率(陽性的中率)は2.2%です(Fig.2)。