3.大腸ポリープ 鶴丸大介(九州大学大学院臨床放射線科学)

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大腸ポリープとは?

なんとなくイメージは分かっても、大腸ポリープについて正確に理解していない人は多いと思います。

ポリープとは、その形態に基づいた概念であり「大腸内腔に向かって限局性に隆起する病変で、組織学的には良悪性は問わない」が定義となります

平たく言えば、大腸の出っ張った病変は全てポリープということになります。

一般的には、最も高頻度にみられる「腺腫」が大腸ポリープの代表格になりますが、大腸ポリープには腺腫以外に様々な組織の病変があります。

良悪性を問わないので、形がポリープであれば組織学的に癌でも、ポリープの一種になるわけです(Table.1


Table.1 大腸ポリープの主な種類.


大腸ポリープの組織は多岐に渡るが、最も多く一般的な「大腸ポリープ」として認識されているのは通常型腺腫である。(文献1を参考に作成)


大腸ポリープは「癌」になる?

上述したように、ポリープは形態病名で良悪性を問わないので、大腸ポリープは既に癌であるものも含むことになります。

ただし、一般的には「大腸ポリープ」=「腺腫」なので、「大腸腺腫」が「大腸癌」になるのかが気になるところだと思います。

以前は、大腸ポリープを放置すると癌化するという「adenoma-carcinoma sequence」が大腸癌の発生過程と言われていました。

しかしその後の研究などにより、腺腫以外でも癌に至る経路が明らかになってきました。

そのひとつは、最初から癌として発生するde novo癌という概念です。

そしてもう一つは、比較的最近明らかになった鋸歯状病変の癌化(serrated pathway)です。


大腸CTの役割は?

大腸ポリープが大腸癌を含んでいるかどうかは、内視鏡でも判別が難しいことが多いです。

このため、一般的にはポリープの大きさによって癌のリスクを判断することになります。

例えば、大きさが6㎜未満のポリープでは、癌を含んでいる確率(担癌率)が極めて低いといわれています。

逆に15mmを超えると相当の確率で癌が存在します。

したがって、大腸CTにおいては、6㎜以上のポリープを検出対象としており、国内の大規模試験における検出感度は88%、特異度は92%というデータが発表されています

もちろん、小さい病変や丈の低い病変の検出については内視鏡が優れますが、検査の良し悪しについては、受ける側の負担や好みも併せてトータルで判断する必要があります。

大腸ポリープには腺腫以外にもいろいろな組織がありますが、大腸CTでそれぞれを鑑別することは困難です(Fig.1)。

したがって、大腸CTの役割は、6mm以上のポリープを確実に拾い上げ、内視鏡での精密検査や治療に誘導することです。

 


Fig. 1  大腸ポリープの種類.
大腸ポリープは隆起性病変を意味し、大腸CTにより組織型を鑑別することは困難である。
a:通常型腺腫


b:Peutz-Jegherポリープ


c:0-Ⅰ型腺癌

大腸ポリープは、大腸CTで追跡できる?

大腸CTはポリープを見つけることが一番の目的ですが、それとは別に、再現性・客観性の高い評価が可能であるという強みがあります。

例えば、大腸CTで小さなポリープが見つかって経過観察するとしたら、次の検査で正確に比較することができます。

あるいは逆のパターンもあり、大腸ポリープや癌が見つかって過去の検査と比較することで病変の進行度を把握することもできます。

Fig.2は、上行結腸癌の症例です。

上行結腸に早期癌を指摘され、精密検査として大腸CTを受けたのですが、実はその10か月前にS状結腸癌で手術歴がありました。

その時にも大腸CTが実施されていたため、上行結腸の病変部位を確認したところ、上行結腸に異常は認められませんでした。

すなわち、10か月前にはなかった、あるいは大腸CTで拾い上げることができない平坦病変であった可能性があります。

このような評価ができるのは大腸CTならではだと思います。


Fig.2 上行結腸癌.
a:光学内視鏡。上行結腸にIs型の隆起性病変を認め、早期大腸癌に合致する。


b:仮想内視鏡像。光学内視鏡と同様の病変が描出されている。


c:仮想注腸X線像。病変はバウヒン弁より肛門側の近位上行結腸に存在している。


d:仮想注腸X線像(cより10か月前)。上行結腸の病変は指摘できない。

 

海外では大腸CTで大腸ポリープを約5年間追跡調査した研究があります。

それによると、10㎜未満のポリープであれば、その75%は増大しないようです。

逆に増大するポリープのうち、サイズが2倍になる頻度は5%程度のようです

Fig.2のようなケースは稀と言えるでしょう。

 

このように、大腸CTは、大腸ポリープと親和性が非常に高い検査と言えます。

臨床的に問題となる6mm以上のポリープであれば十分に検出できますし、局在診断や経過観察においても客観性・再現性を忠実に発揮する検査です。

 

文献
1)日本消化器病学会:大腸ポリープ診療ガイドライン2020(第2版)
2)Nagata K, et al:Accuracy of CT Colonography for Detection of Polypoid and Nonpolypoid Neoplasia by Gastroenterologists and Radiologists: A Nationwide Multicenter Study in Japan.Am J Gastroenterol 112:163-171,2017
3)Pooler BD,  et al:Growth rates and histopathological outcomes of small (6-9 mm) colorectal polyps based on CT colonography surveillance and endoscopic removal.
Gut 72:2321-2328,2023

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