第011回  内視鏡に関わるすべての人が気軽にトレーニングできる消化管内視鏡シミュレータ「EASY®」
常見麻芙(山下病院サステナビリティ推進室)

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用途 消化管内視鏡シミュレータ
開発者

常見麻芙(山下病院サステナビリティ推進室)・松崎一平(同 消化器内科)

企業 株式会社タナック

 

製品開発の背景

内視鏡検査・治療は、内視鏡医だけでなく看護師や内視鏡技師など、多職種の協力によって成り立っています。

しかし、これまで内視鏡医向けのトレーニングシミュレータは存在していた一方で、内視鏡技師や看護師がデバイス操作を練習するためのシミュレータは存在していませんでした。

そのため、多くの場合、スネアやクリップなどのデバイス操作は実臨床の中で経験的に習得されてきました。

指導の際には手袋やガーゼを用いた簡易的な練習を行うこともありますが、体系的に基本操作を学ぶ環境は十分とは言えない状況でした。

そこで、実臨床に入る前段階として、安全に基本操作を練習できるトレーニングツールが必要であると考え、本製品の開発に着手しました。  

 

開発の経緯

本製品の開発は、コロナ禍でマスク不足が問題となった際に、内視鏡現場で活用していた「マスピタ®」をきっかけに、企業との交流が生まれたことから始まりました。

製品の使用状況を比較的近隣であった企業の担当の方が見学に来られたことを契機に、その企業が持つシリコン成形技術を活用した新たな製品開発について議論が進みました。

自身の研究歴や人間工学というバックグラウンドを持つ看護師という特殊な立場であったことも、企業様の信頼につながった可能性はあります。

その結果、シリコン加工技術と裏面空洞構造を組み合わせることで、スネア締結時やクリップ縫縮時の感覚を実臨床に近い形で再現したトレーニングシートを開発することができました。


開発の実際

本製品の開発では、「いつでも気軽に練習できること」と「実臨床に近い操作感の再現」を重要なコンセプトとしました。

まず、大型の内視鏡シミュレータとは異なり、必要なときにその場ですぐ使用できるコンパクトなトレーニングツールとすることを目指しました。

また、SDGsへの配慮として、再生紙を用いたペーパークラフト構造を採用し、繰り返し使用可能な設計としています。

開発過程では、クリップ縫縮はモデルの潰瘍ですぐにリアルな感触を再現できたものの、ポリープ突起のみの形状ではスネアを締めた際に滑ってしまい、適切な切除マージンを確保できないという課題が生じました。

そこで試行錯誤を重ねる中で、素材の硬さを変えるだけでなくポリープ直下に空洞を設けることでスネアが沈み込み、正常粘膜を含めたスネアリングが可能になることに気づきました(Fig.1)。

 


Fig.1 正常粘膜を含めたスネアリング.

 

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