鈴鹿中央総合病院 消化器内科・内視鏡センターの野村達磨と申します。
私は日々、消化管の治療内視鏡に取り組みながら、その中で生まれた工夫やアイデアを論文や学会を通じて発信してきました。
しかし何よりも好きなのは、実際の臨床現場で「どうすればもっと安全に、もっと確実に治療できるのか」を考えることです。
本連載「治療内視鏡~私の工夫〈Season II〉」では、私自身が日常診療の中で試行錯誤しながら生み出してきた様々な工夫をご紹介していきたいと思います。
第1回は、Underwater ESDにおける私の工夫についてです。
Underwater ESDは現在、消化管ESDにおいて欠かすことのできない技術の一つとなっています。
しかし、術中に発生する気泡による視野障害や、大量出血時の迅速な止血に関しては、いまだ十分に確立された方法がありません。
そこで私たちは、キャストフードを用いたGas-free immersion(GFI)systemやFlow-Assisted Coagulation(FAC)を考案し、Underwater ESDにおける視野確保と止血の改善に取り組んできました。
これらの工夫により、より繊細な剥離操作が可能となり、食道浅層剥離法(Shallow ESD)などの新たな手技の開発や、全周性食道ESD後の狭窄予防への応用にもつながっています。
さらに症例を重ねる中で、これらの考え方はESDだけにとどまらず、内視鏡的全層切除術(EFTR)、憩室出血に対する止血術や、大腸腫瘍による狭窄症例へのステント留置など、さまざまな治療内視鏡手技へ応用できることがわかってきました。
Season IIでは、困難なESD症例の克服法だけでなく、日常診療で遭遇する「どうしたらよいか困る場面」を乗り越えるためのTipsを、実際の動画とともにご紹介していきたいと思います。
(次回は「食道ESD後狭窄予防のための食道浅層剥離 “Shallow ESD”」をご紹介する予定です)
私たちが日々の診療で実践している工夫が、皆さまの明日からの診療に少しでもお役に立てれば幸いです。