<リアルタイムで集計結果が分かる!!>
みんなの「モテる!」症例検討会 野中 康一、藤井 悠子、市原 真

 

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みんなの「モテる!」症例検討会

 

 野中 康一(のなか こういち) 埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科

 藤井 悠子(ふじい ゆうこ) 埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科

 <病理解説>市原 真(いちはら しん) 札幌厚生病院 病理診断科

 (担当:Wall-E)

 

 

野中:

皆様、こんにちは「モテ本」の作者の野中です。

日高市山根1397-1という住所に何があるかご存じでしょうか???

Google mapで見ると、この山の中の広大な敷地です。

Fig.1 

別名:エリア51

アメリカ空軍によって管理されているネバダ州南部の一地区

と同じくらい謎につつまれた地区であり、世の中のほとんどの人が立ち入ることがない施設です。

 

なぜ謎につつまれているかって???

 

それは単に都心から遠いからだけです(笑)。

ちなみに私が働いている「埼玉医大国際医療センター」の住所です。

 

ぜーんぜん盛り上がらなかったので、ここら辺で打ち切りますが、言いたかったことは、このエリア1397-1の2階の内視鏡室(部屋番号2)で毎週火曜日内視鏡勉強会が開催されているのです。

参加人数はホールが半分程度埋まるほどの4~5人です(もともとの部屋番号2が狭いだけです)。

 

症例を準備するのが、今一番私が愛情かけて指導している藤井悠子医師と菓(下の名前は憶えてない)医師です。

最近二人がやたらと潰瘍瘢痕合併症例と前庭部の深達度診断が難しい症例にはまっているらしく、本当に面白いほど診断が難しい症例を準備してくるのです。

 

絶対に一度自分が内視鏡診断で目を通しているはずなのに、毎回悩んでしまいます。。。。

毎週3例づつ、こういった症例をみんなで議論するのですが、大変興味深いことに気が付きました。彼ら二人が4月に来て9か月が経過しました。

 

来た当初は、正直かなり診断順序がルーティン化されておらず、UL0あるいはUL1を2択で「えいやっ」と診断している感じでした。正直コイントスと同じなわけなので、勝率5割といった感じでした。

*新しい癌取扱い規約でUL0, UL1の記載となっておりますので、UL(-), UL(+)では? と思われた先生は「モテ本2」のp.208をご参照ください。

 

知らないことは恥ずかしいことではないです。今覚えて、次回間違えなければいいじゃないですか。それが私の勉強会のモットーです。さすがに何回指導しても覚えない人はダメですが。。。。。

 

ここ最近、彼らの診断が7~8割は正解するようになってきているのです。そもそも出てくる症例自体かなり難易度が高い症例で、自分自身も正診できるのは8割ちょいといった感じです。ということは、彼らのラーニングカーブが週に一回の勉強会でものすごいスピードで上昇しているのではないでしょうか。さらに、自分自身も“このパターンは前庭部なので、今なら粘膜内癌と診断するな”とか、“これは生検の影響でUL0を考えたいな”とか、病理像をイメージしながら診断する能力の幅が広がっている自覚があります。

 

もし、本当にそうだとしたら。。。。。。

エリア1397-1の秘密は世の中の若手医師と共有したほうがよいのではないでしょうか??

モテる若手内視鏡医を効率的に育てることができるのではないでしょうか??

 

そもそもエリア1397-1は池袋から東部東上線で川越に向かい、川越でJR川越線に乗り換えて高麗川駅へ。高麗川駅からバスに乗り、ようやくたどり着けるエリアなのです。

仮にアメリカ軍に防衛されていなくても、そう簡単には足を踏み入れることはできません。

 

今はネット社会です。もっと簡単にみんなで知識を共有できる手段はあるはずです。

前庭部の深達度診断のポイントの一つに、私の病理の指導医 市原真先生が提唱されている「鉄骨所見」なるものがあります。これがかなりの症例で診断に役に立つことが分かってきました。「モテ本」には記載がありますが、なにせ黄色とピンクのチャラい本です。エビデンスレベルは不明です。いい加減、はやく論文化していただきたいものです(笑)。

 

ULの有無の診断では、内視鏡的に白か黄色か? 生検の有無は? 前庭部か? など多くのポイントを市原真先生に指導いただいてきました。

 

今回の当院の症例がどのようにエリア1397-1で議論されたかを提示し、我が師匠である市原真先生と討論したいと思います。

「モテ本2」では田原総一朗と大島渚という設定で議論しましたが、それほど反響もなかったので、今回は世紀末風にしてみることにしました(笑)。

 

それでは、私の愛弟子の藤井悠子先生、ここ最近の君がはまった症例を数例提示して、どのような議論だったかを皆さまに提示してください。

 

そうそう、これらの症例、世の中の若手医師がどういう感じで診断するのか? さらに知識を共有すれば、診断能が向上するのか? クイズ形式でまず見てみたいですよね、市原先生!

 

藤井:

はじめまして。私は4月から埼玉医大国際医療センターの野中先生のもとに国内留学というかたちで修行に来させていただいております。いま一番ホットな、若手内視鏡医にとってのヒーロー、憧れの野中先生に会いたい一心で、東京からはるばるこのエリア1397-1へ「モテ本」片手に東武東上線を乗り継いで修行に来ました(意外と近かった…)。

 

それも早いもので9か月になり、毎週欠かすことなく行っているカンファレンスの症例もそれなりの数になってきました。

 

カンファレンスの症例ですが、毎週同僚の菓(下の名前は忘れました)先生と、当院の膨大なESDデータベースを見ながら選んでおります。はじめの頃は基本的な症例を選び、読影を野中先生にチェックしていただくような勉強会でしたが、慣れてくると少し遊び心が出て、3例中1例にこっそり、野中先生をあっと言わせる症例を入れるようになりました。

今回はそんな野中先生があっと驚いた症例の中から、われわれが最近はまっている「前庭部シリーズ」を提示させていただきます。

 

ところで埼玉での生活ですが、仕事は毎日17時半には終わり、ありがたいことに残業はありません。野中先生は何事もメリハリを大事にされますので、カンファレンスもだらだらとは行いません。30分くらいでスッパリ終わります。あの野中先生のご講演をタダで毎週聴かせていただいているような、贅沢なカンファレンスです(もしかして、最後に請求書が来るのかなぁ?)。

 

ただし決して厳しいという訳ではなく、疲れたときはお菓子を食べながら一息ついて、みんなでワイワイと症例検討しています。楽しいですよ。

早速ですが、症例を提示させていただきます。

回答が終わったら「送信」ボタンをクリックしてくださいね。

 

 

<みんなの回答結果>は、こちらをクリックしてください!

 

ちなみに野中先生は、たまに冗談のように“SM 283μmくらいかなー”と刻んだ読影をされますが、近い数値を当てられることがあるので驚きます。

 

いかがでしたでしょうか。

 

解答については、全国のみなさんからアンサーパット形式でお答えいただいたのちに、当院カンファレンス形式で発表させていただきます。

解説には、「あの方」もご登場いただく予定です。

 

全問正解された方には、野中先生から何かあるかもしれませんし、無いかもしれません。

今度の時までに何かご褒美をいただけないか聞いてみますね。ではまた。

 

野中:

藤井先生、結構正解する先生もいらっしゃると思うので、これやめてーーー(笑)。

 

でも、せっかくなので、医学書院の「モテ本」担当者(wall-E)に聞いておきます。

まあ、「モテ本3」あるいは、ガストロペディアへの顔イラストでの登場権利を全問当選者の中から厳正な抽選で1名とかでも面白いかもですね。

 

まあ、そんな権利より、皆さん現金とかのほうがいいに決まってますよね(笑)。

 

(のちほど「モテ本」メンバーも登場します。お楽しみに)

 

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