類上皮細胞肉芽腫 (ガストロ用語集 2023 「胃と腸」47巻5号より)

epithelioid cell granuloma

肉芽腫とは,結節状の肉芽組織で,マクロファージ系の細胞の浸潤を伴うものである.

類上皮細胞は扁平な上皮細胞様の形態のマクロファージ由来の細胞で,淡好酸性の細胞質と明瞭な核小体が特徴である.

類上皮細胞の浸潤のみられる肉芽腫を類上皮細胞肉芽腫と呼ぶが,

肉芽組織の構造を伴わない単なる類上皮細胞の集簇巣も類上皮細胞肉芽腫として扱われる.

類上皮細胞肉芽腫には類上皮細胞が融合して形成されたと考えられている多核巨細胞もしばしば認められる.

類上皮細胞肉芽腫は比較的限定された疾患にしか認められず,疾患ごとに特徴のある組織像を呈することが多いので,

組織学的に類上皮細胞肉芽腫を同定し,その組織像を解析することが疾患の診断につながる.

消化管疾患で,類上皮細胞肉芽腫が認められる可能性のある疾患をTable 1に挙げる.

Table 1 類上皮細胞肉芽腫が認められる可能性のある疾患
Table 1 類上皮細胞肉芽腫が認められる可能性のある疾患

これらの消化管疾患において,類上皮細胞肉芽腫の組織学的鑑別が,臨床的に最も重要なのは

Crohn病と結核の鑑別である(Fig. 1)

Fig. 1 a Crohn 病の典型的な萎縮性類上皮細胞肉芽腫.
Fig. 1 a Crohn 病の典型的な萎縮性類上皮細胞肉芽腫.

Fig. 1 b 抗結核剤治療後の結核にみられた萎縮性類上皮細胞肉芽腫.
Fig. 1 b 抗結核剤治療後の結核にみられた萎縮性類上皮細胞肉芽腫.

Crohn病と結核の類上皮細胞肉芽腫の組織学的鑑別点をTable 2に提示する.