X線や紫外線,可視光線を蛍光物質に照射することで電子が励起され,それが基底状態に戻る際に放出される光を蛍光と呼ぶ.
生体組織に励起光を照射すると各種分子(コラーゲン,エラスチン,NADH,フラビン,ポルフィリンなど)から蛍光が生じ,このような生体組織中の蛍光物質からの蛍光を自家蛍光(autofluorescence)と呼ぶ.
蛍光の内視鏡観察への応用には外因性に投与した蛍光物質の病変部への集積を観察する方法と,内因性の生体組織中の蛍光物質からの自家蛍光を観察する方法があり,後者を自家蛍光内視鏡という.
AFI(autofluorescence imaging)はオリンパスメディカルシステムズ社が2006年から製品化した電子式の自家蛍光内視鏡システムで,
電子内視鏡の先端に高感度撮像素子を内蔵し,外観・操作性は通常の電子内視鏡と全く同様で,高解像度の白色光観察に切換えて,ボタンひとつで蛍光観察を行なうことができるシステムである.
同システムでは,青色の励起光(395~475nm)と緑色光(540~560nm)を回転フィルタを用いて順次照射し,
レンズ前面のフィルタ(490~625nm)で励起光をカットして自家蛍光画像と緑色反射光画像を合成してリアルタイムでモニタ上に画像化する(Fig. 1).
AFI画像では自家蛍光の強い部位は明るい緑色に,腫瘍などにより自家蛍光の減弱した部位はマジェンタ色に,血液により自家蛍光と緑色光ともに減弱した部位を深緑色に描出する(Fig. 2).