頻度
Barrett食道は食道腺癌の危険因子とされ,米国や欧州のデータでは1,000人年あたり5.3から7.0例とされてきた.
しかし,その発生頻度は研究の規模が大きくなるにつれ,低くなる傾向があり,
11,028名のBarrett食道患者を中央値5.2年経過観察したデンマークのコホート研究の結果では,
Barrett腺癌の発生頻度は1,000人年あたり1.2例と従来より低い結果であった1).
日本食道学会の全国登録データベースによる解析では日本の食道癌の3%がBarrett腺癌であり,
その頻度は欧米に比較するとごくわずかだが,近年徐々に増加傾向にある2).
診断法
欧米では2cmごとに4方向から生検を採取するランダム生検によるサーベイランスが第一選択とされる.
早期Barrett腺癌の内視鏡診断は困難であり,生検に頼らざるを得ないという論法である.
しかし,ランダム生検では手間,費用,安全性で問題があり,本邦では受け入れられていない.
本邦の内視鏡医は早期胃癌の診断に関する高度な知識と技術を有しているため,通常は内視鏡で診断し,ターゲット生検で確定診断する.
深達度
扁平上皮癌の場合は粘膜筋板の下縁から200μm未満の浸潤をSM1と定めている3).