古くは common acute lymphoblastic leukemia antigen (CALLA)として知られている膜抗原で、白血病細胞マーカーとして注目されていました。
しかし、白血病に特異的なタンパク質ではなく、リンパ球前駆細胞、好中球、胚中心 B 細胞のほか、腎臓近位尿細管上皮の刷子縁や小腸絨毛吸収上皮の線条縁といった正常細胞にも広く発現していることが判明し、現在に至ります。
日常の病理診断においては、胚中心 B 細胞や子宮内膜間質細胞の優れたマーカーとして汎用されています。
前者は濾胞性リンパ腫(Fig.1)や Burkitt リンパ腫の診断に、後者は子宮内膜症の病巣検出に有用です。
また、消化管上皮性腫瘍の発現形質解析では、小腸形質と判断するためのマーカーとして汎用されています。
なお、CD10 は neprilysin、あるいは membrane metallo-endopeptidase (膜結合型メタロエンドペプチダーゼ)とも呼称されることがあります。

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Fig.1 胃体部にみられた小型の無茎性ポリープとして認められた濾胞性リンパ腫.
a:胃粘膜固有層および粘膜筋板に明瞭な腫瘍性結節が認められる.
b,c:CD10(b)およびCD20(c)の免疫組織化学染色により腫瘍性結節が強調されている.
d:腫瘍性B細胞(CD5陰性、CD10陽性、CD20陽性)の大部分がBCL-2タンパク質を発現している。これにより濾胞性リンパ腫の診断が確定し、反応性濾胞過形成は除外される.
(二村聡、他:消化管悪性リンパ腫の生検病理診断-鑑別診断とその注意点を中心に.胃と腸 44:875-888,2009 より転載)
