Helical CTの発達により腸管の三次元表示が可能となり,Vining1)はこの方法を応用したCTC(CT colonography)の報告を行った.
その後,多列検出器型CT(multi detector-row CT ; MDCT)が開発され空間画像分解能は飛躍的に向上した.
近年,MDCTを用いた消化管の新しい検査法はCTCやCTE(CT enterography)と呼ばれ,大腸や小腸に対する低侵襲検査として注目されている.
しかし,現時点ではX線被曝や病変描出精度など改良すべき点がまだ多く残されている.
CT colonography/enterographyの手順
CTCの前処置として,注腸の前処置であるBrown変法が用いられる.
また,大腸内視鏡検査後にCTCを施行する場合はPEG(polyethylene glycol)などの腸管洗浄液が使用される.
前処置法によっては残渣や残液が問題となるが,その場合は硫酸バリウムやガストログラフィンなどの陽性造影剤を検査前日などに経口投与し,残渣・残液を標識するfecal tagging法が用いられる.
標識された残渣・残液はelectronic cleansingによる画像処理にて消去される.
本検査の精度を高めるには腸管を十分拡張させた状態でMDCTを行うことが必要である.
CTCでは,空気あるいは炭酸ガスを経肛門的あるいは内視鏡検査時に注入し,大腸を拡張させる.
CTEでは,経口造影剤(PEGや0.1% w/v硫酸バリウム含有ソルビトール溶液)を検査前に多量に服用させ小腸を拡張させる.
撮像は,16~80列(通常64列が多い)のMDCT装置を用い,腹臥位と背臥位にてスライス厚0.5mmでスキャンする.
得られた画像を三次元画像処理によって再構成する.
再構成には,任意多断面再構成法(multiplanar reconstruction ; MPR),曲面任意多断面再構成法(curved MPR ; CMPR),VR(volume rendering)法などがあり,
それによりMPR表示,C-MPR表示,air enema表示,VE(virtual endoscopy)表示,仮想病理肉眼標本展開図(virtual gross pathology ; VGP)表示などの画像表示が行える.
CMPR法は長く蛇行している腸管を,腸管軸に沿った任意の曲面として一断面に描出することが可能である.
CT colonography(Fig. 1)
CTCは新しい大腸の検査法として大腸癌スクリーニングなどでその有用性が評価され,ポリープの検出感度は5mm以上の病変で約80~90%と良好な成績が報告されている2).
隆起型病変検出の効率化を計るため,CAD(computer-aided detection)の併用が試みられている.
一方,表面型腫瘍におけるCT colonographyの描出能に関する報告は少ない3).
CT enterography(Fig. 2)
CTEは長くて屈曲や重なりの多い小腸を目的臓器とするため,病変の描出能,診断能はCTCに比べ良好とは言えないが,