Cronkhite-Canada症候群(Cronkhite-Canada syndorome ; CCS)は
1955年CronkhiteとCanadaにより初めて報告された,脱毛症,爪異栄養症,過度の皮膚色素沈着,下痢,体重減少を伴うまれな非遺伝性の消化管ポリポーシスである.
発生率は100万人に1人と言われており,ヨーロッパ系もしくはアジア系の50~60歳代で発症し,性差は男性 : 女性は3 : 2とやや男性に多い1).
CCS発症要因として精神的ストレス,ビタミン欠乏,鎮痛剤などの薬剤,甲状腺機能低下症などの報告がある1).
近年全身性エリテマトーデスや関節リウマチ患者での報告や,抗核抗体陽性症例,粘膜組織中のIgG4免疫染色陽性症例の報告が相次ぎ,自己免疫疾患の関連が示唆されている2).
CCS自体は良性だが,消化器癌を15%に合併する.
組織学的にポリープは過誤腫性で,若年性ポリープ/ポリポーシス(juvenile polyp/polyposis)の病理所見に類似しているため,
若年性ポリープ様ポリープ/ポリポーシス(juvenile type polyp/polyposis)とされるようになった3).
ポリープは強い浮腫状間質と好酸性液状物質を含む嚢胞状拡張腺管の増生から成る(Fig. 1).
しかし,CCSではポリープ以外の平坦な粘膜でも浮腫などが認められる点が若年性ポリポーシスとの鑑別となる.
ポリポーシスは胃および大腸に好発し,胃のポリープは前庭部に密生する傾向にある(Fig. 2, 3).