潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)の慢性炎症粘膜を母地として発生する腫瘍性の異型腺管群をdysplasiaと呼ぶ.dysplasiaは前癌病変と考えられており,大腸内視鏡サーベイランスにおいてUC関連性大腸癌(ulcerative colitis-associated cancer)の合併を検知するためのマーカーとしても重要である.
dysplasiaは隆起型,表面隆起型,平坦型,表面陥凹型など様々な肉眼形態を呈すると考えられる.Blackstoneら1)は,隆起型のdysplasiaに対しDALM(dysplasia-associated lesion or mass)という名称を提唱し,その肉眼形状をpolypoid mass, plaquelike lesion, sessile polypに分類している.また,Buttら2)は,dysplasiaをflat lesion(平坦病変),warty lesion(粗大顆粒状病変,Fig. 1),plaque-like lesion(扁平隆起様病変,Fig. 2),papillary lesion(乳頭状病変),polypoid lesion(ポリープ様病変,Fig. 3)に肉眼分類しているが,これらのうちflat lesionを除く後4者がDALMに相当するものと考えられる.