Dieulafoy潰瘍は,1898年にフランスのDieulafoyが初めて論文報告した潰瘍で,硬貨大の浅い潰瘍から大量の吐血を来し失血死するとした.
臨床的には明確な定義はない1)が,潰瘍の既往のない人が心窩部痛や吐き気,食欲不振などの前駆症状なしに突然,大量の吐・下血で発症することが多い.
内視鏡的には数壁集中や浮腫性周堤を伴わないごく小さな潰瘍の中心部に太い露出血管が観察される.
血管破綻の原因として,粘膜下層の細血管の走行異常,拡張,微小動脈瘤,動静脈奇形などの諸説があるが,
病理学的には胃の浅い小型の潰瘍で,粘膜下層に存在する太く蛇行する“走行異常”する血管が潰瘍底に存在することで破綻し大量出血すると考える研究者が多い.
UL-IIまでの浅い潰瘍で,破綻動脈の最大径は350~2,000μmであるが1,000μm以上の報告が多い2).
胃体部に発生することが多いが,直腸などでも報告されている3).
発生頻度は0.3~6.8%で,男女比は3~6 : 1と男性に多いとされる.
内視鏡的診断における定義として,
(1) 胃体上部または中部に存在する,
(2) 潰瘍長径が10mm以下である,
(3) 露出血管が潰瘍面積に比し目立つ,ものとされる(Fig. 1).