胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease ; GERD)の概念は時代とともに変遷してきているが,
今日の概念は,「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン」1)によると,
“胃内容物の逆流により臨床症状や合併症を生じた病態の総称”と定義されている.
したがって,GERDには上部消化管内視鏡検査で下部食道を中心に粘膜傷害を認める逆流性食道炎と,
逆流症状を有するものの粘膜傷害のみられない非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease : NERD)が含まれることになる.
Fig. 1にGERDの概念を模式的に示すが,
まず上部消化管内視鏡検査のみでGERDを診断するとき(Fig. 1a),食道に粘膜傷害が認められたときは,逆流性食道炎と診断できる.
すなわち,GERDの内視鏡分類であるロサンゼルス分類Grade A~Dがこれに当てはまることになり,
本邦で使用されている改訂ロサンゼルス分類Grade Mは通常,逆流性食道炎には含まれずNERDに含まれる.
次に,GERDに対する問診票を使用し,陽性と診断された場合には(Fig. 1b),症候性GERDと診断できる.