消化管間葉系腫瘍(gastrointestinal mesenchymal tumor)に対しGIMTという略語が日本で使用されることがあるが,
主要論文や欧米でのGIST(gastrointestinal stromal tumor)の関連会議においては,消化管間葉系腫瘍に対しこの略語が使われることはあまりない.
日本で聞き慣れているからと言って,欧米ではこの略語は説明なしでは理解されないと心得るべきである.
ちなみに,GISTは欧米でも略語として極めて一般的に使用されており,
その発音は英語を母国語とする欧米人のほとんどが“ジスト”であり,英語を母国語としない欧米人・日本人などの一部で“ギスト”と発音されている.
消化管には粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)という用語があり,消化管間葉系腫瘍がその大部分を占めるが,
SMTには一般にcarcinoid・異所性膵など,消化管間葉系腫瘍には含まれないものを含んでいる.
このSMTという言葉も欧米ではあまり一般的ではないように思われる.
消化管非上皮性腫瘍という用語も存在し1),消化管間葉系腫瘍とほぼ同じものを指すが,一般に消化管間葉系腫瘍には悪性リンパ腫は含まれない.
消化管間葉系腫瘍は紡錘状形態を示した腫瘍をイメージして使われることが多いが,類上皮形態を示す腫瘍も含む.
炎症性線維性ポリープ(inflammatory fibroid polyp)は最近まで炎症性非腫瘍性病変として取り扱われてきたが,
多くにPDGFRA(platelet-derived growth factor receptorα)遺伝子変異が検出され,消化管間葉系腫瘍の範疇に入るものと思われる.
Table 1に消化管間葉系腫瘍を列挙する.
消化管間葉系腫瘍のなかで最も頻度が高く臨床的に問題となることの多いのがGISTである2).
分子標的薬イマチニブがGISTに著効を示すことから,消化管間葉系腫瘍の鑑別ではGISTか否かがポイントとなる.
紡錘状形態(Fig. 1a)の腫瘍の場合は,