移植後100日以内に発症する急性GVHD(graft-versus-host disease)は皮疹・黄疸・下痢を特徴とする症候群で,宿主と移植片の免疫学的相違によるドナーリンパ球が引き起こす多臓器組織障害である1).GVHD関連腸炎は急性GVHDにおける大腸を中心とした下部消化管病変を指し,下痢,嘔気,腹痛を伴い,内視鏡像は粘膜の血管透見低下,発赤,浮腫,びらん,潰瘍,出血や“orange peel”所見など多彩で,終末回腸,深部結腸に好発する(Fig. 1)1)~3).
病理組織学的にはリンパ球浸潤を伴う上皮細胞の様々な程度のアポトーシスが特徴である(Fig. 2)1).鑑別疾患としてCMV(cytomegalovirus)などのウイルス,細菌や真菌などの感染性腸炎,移植関連微小循環障害による腸管TMA(thrombotic microangiopathy),移植前処置による粘膜炎である前処置関連毒性(regimen related toxicity ; RRT)1)~3)などがあり,移植後21日以内の生検標本は前治療の影響が残るので注意が必要である1).