B細胞とともに免疫機能の中核を担うリンパ球です。Tリンパ球と同義語です。
T前駆細胞が胸腺 (thymus)に移動し、同組織内で分化を遂げて成熟T細胞となり、リンパ組織へ分布します。
T細胞はB細胞と同様、抗原を認識します。この抗原認識は、細胞表面に発現しているT細胞受容体 (T cell receptor: TCR)によって行います。TCR遺伝子は免疫グロブリン遺伝子とよく似た構造を有し、発現に先立って再構成されます。
日常病理診断では、細胞質CD3epsilon (cCD3e)に対する抗体を用いた免疫染色によってT細胞を認識しています(Fig.1)。なお、NK細胞もcCD3eを発現しているので、このマーカーのみではT細胞とNK細胞を区別することはできません。

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Fig.1 自己免疫性胃炎(早期)における胃底腺の病理組織拡大像.
a:CD3免疫組織化学染色像.浸潤リンパ球はT細胞が多い.
b:胃底腺内にみられるアポトーシス体.
(九嶋 亮治,他:自己免疫性胃炎の病理組織学的所見.胃と腸 59:23-33,2024より転載)
