生体内で直接,細胞観察を行いたいとの観点から,超・拡大内視鏡の開発が進んでいる.
超・拡大内視鏡には主に2系統あり1),1つは「共焦点レーザー顕微鏡」2)3),もう1つが「接触型内視鏡系」である.
endocytoscopyは,接触型内視鏡系に属する.
接触型内視鏡系での細胞観察は1980年のHamou4)の婦人科領域での試みに始まる.
1982年にTadaら5)は光学レンズ系の倍率をおよそ170倍まで上げ,大腸粘膜の観察を試みた.
近年,大植が,Karl-Storz社製の硬性鏡を用いて,大腸癌の観察を行い,再び「接触型内視鏡」を再評価させた(大植,第37回日本癌治療学会総会,1999).
さらに熊谷も,外科切除標本における食道扁平上皮細胞の観察を報告している(熊谷,第57回日本食道学会学術集会,2003).
しかし消化管上皮の生体内での観察を行うためには,軟性鏡としての超・拡大内視鏡が必要であった.
そこで大植,熊谷,筆者らの共同提案とオリンパスとの産学共同研究で開発されたのがプローブ型endocytoscopyである6)~8).
その後,スコープとの一体型endocytoscopyが開発された9).現在は,一眼レフの一体型が作製されている.
CM二重染色の開発
これまでendocytoscopyは,「メチレンブルーの単染色」による細胞観察が行われてきた.
確かに食道扁平上皮では「メチレンブルー単染色」でも細胞および細胞核の描出が可能であったものの9),胃粘膜ではメチレンブルー単染色による良好な画像は得られなかった.
各種の染色法の検討により,「クリスタルバイオレット・メチレンブルー二重染色(CM二重染色)」の開発に到達した10).
CM二重染色により,細胞質をクリスタルバイオレットでピンクに,細胞核をメチレンブルーで濃紺に染め分けることが可能となり,いわば擬似ヘマトキシリン・エオジン染色ともいえる画像の獲得が可能となった(Fig. 1).