組織球の核と同じか、あるいは小リンパ球の核の少なくとも2倍以上の大きさの核と明瞭な核小体をもつ大型主体のB細胞のびまん性増殖からなる腫瘍と定義されます。核形態は胚中心芽細胞 (centroblast)や免疫芽球 (immunoblast)に類似しています。
また、前述の定義においては腫瘍細胞のサイズが大型 (large-sized cell)であることが前提のような印象を受けますが、実際のところ大型とは言えない、中型の腫瘍細胞 (medium-sized cell)が種々の程度に混在していることがあります(中型腫瘍細胞は、以前、中細胞とも呼称)。
したがって、中型の腫瘍細胞が混在していても、大型細胞が数的に優勢の場合は本病型の範疇とみなすことになっています。
本病型には、de novo発生例のほか、MALTリンパ腫や濾胞性リンパ腫が大細胞転化 (large cell transform)したものも含まれます。日本人のリンパ腫のなかで最もありふれた病型です。腫瘍組織の細胞構成は(マントル細胞リンパ腫のごとく)単調・均一ではなく、かならず小リンパ球が介在しています (Fig.1)。
Fig.1 びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の組織像(対物100倍レンズで油浸撮影).
核縁に数個の核小体が分布した空胞状核を有する大型細胞がびまん性に増殖している.一回り小型のリンパ球が少数介在している.
〔二村 聡:消化管組織病理入門講座・11【全消化管】消化管に発生するリンパ腫(後編)―各病型の組織像を中心に.胃と腸 49:8,2014 より転載〕
もし、組織標本内に小リンパ球がまったく介在していない場合、悪性黒色腫、顆粒球肉腫 (いわゆる緑色腫、髄外白血病)、充実型低分化癌など他系統の悪性腫瘍を確実に鑑別・除外しなければなりません。そして、これらの腫瘍はリンパ腫とは治療方針がまったく異なることからも鑑別診断はきわめて重要です。
なお、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に特異的な免疫組織化学的マーカーはありません。だからこそ、たとえ最もありふれたリンパ腫の病型であっても、その診断過程は慎重・適正であることが期待されます。

