組織学的には,粘膜筋板を越えない浅い粘膜の組織欠損をびらんと称するが,臨床的には様々な疾患でびらんを生じるため,その鑑別が重要である.
良性びらんには,ストレスや薬剤,H. pylori感染を原因としたものや(Fig. 1, 2),Crohn病などの全身疾患,ウィルスや細菌,梅毒などの感染に伴うものまで多様であるが,びらんが多発することがほとんどである1).
腫瘍性か否か,悪性か良性かの鑑別が重要だが,単発で不整なものは癌を考える必要がある.
左右非対象などの不均一な形状を示し,陥凹境界が棘状にはみ出し,周囲に不整な辺縁隆起を伴うものは,分化型胃癌を疑う(Fig. 3)2).