カプセル内視鏡は,被検者がみずから飲み込むだけで消化管の検査ができ,ビデオ画像で診断する.
2011年12月時点で食道用,小腸用,大腸用の画像撮影専用モデルが実用化され,可動式モデルも開発されている.
日本では小腸用のPillCam? SB2(ギブン・イメージング社)とEndoCapsule?(オリンパスメディカルシステムズ社)が,
上部および下部消化管の検査(内視鏡検査を含む)を行っても原因不明の消化管出血に対して保険適用になっている1).
大腸用のPillCam? COLON2(ギブン・イメージング社)2)は治験進行中である.
滞留(retention,消化管内の狭窄部の口側に,2週間以上カプセルがとどまること)は,カプセル内視鏡のほぼ唯一の偶発症である(Fig. 1)3).
小腸二重造影を含む他の検査では滞留が起こるか否かを予知することができないため,
腸管の狭窄の有無を調べる目的でAgile Patency Capsule(Agile-J)4)が開発され,近々認可される見込みである.
そのほか,カプセル内視鏡特有の用語として,以下が挙げられる3).
RTA(regional transit abnormality)
カプセルが,ある局部で60分以上にわたって動きが鈍くなること.粘膜面の異常を伴う場合は,小腸の狭窄や腫瘍が原因である可能性が高い.
滞留にもRTAにも当てはまらない場合には,“停滞”あるいは“排出遅延”という用語を使用することが推奨される.
dark lumen
撮影されたカプセル内視鏡画像が暗いこと.出血に伴う黒色背景以外に,濃縮した胆汁や鉄剤の内服が原因となることもある.
dark side of pylorus
十二指腸球部で反転したカプセルが撮影した,通常内視鏡では観察が不可能または困難な十二指腸球部の口側(Fig. 2).