シドニー分類は,1990年にオーストラリアのシドニーで開催された第9回世界消化器病学会で提唱された胃炎の国際的表記法1)である.
これまでの胃炎分類を基盤として,さらにHelicobacter pylori(HP)感染を主体とした胃炎診断であり,
histological division(組織学的部門)とendoscopic division(内視鏡部門)の2部門から構成されている(Fig. 1)2).
組織学部門
組織学部門では,etiology(成因),topography(局在),morphology(形態)の3項目に分類され,
病因としては,HP,自己免疫性,薬剤性,特発性,感染性などが挙げられている.
局在として,幽門部胃炎,体部胃炎,汎胃炎に分類され,
形態学的には,炎症(単核球浸潤),活動性(好中球浸潤),萎縮,腸上皮化生,HPの5項目を診断し,
さらにこれらの程度をnone(なし),mild(軽度),moderate(中等度),severe(高度)の4段階で評価する.
1996年,組織学的所見についてはThe undated Sydney System3)として改訂されている.
主な改訂点は,胃内の5点生検(前庭部小彎,前庭部大彎,胃角部小彎,胃体部小彎,胃体部大彎)を行い,
先の5項目について定量化することにある.
内視鏡部門
内視鏡的胃炎として以下の7つの胃炎と1つの胃症を加えた
8つのカテゴリー((1) 発赤性・滲出液性胃炎,(2) 平坦びらん性胃炎,(3) 隆起びらん性胃炎,(4) 萎縮性胃炎,