パイエル板は,小腸に存在する孤立リンパ小節の集合体で,JC Peyer(1677, 1681)により初めて記載された1).
Peyer板はそのほとんどが回腸にみられ,回腸終末部に向かってその数や大きさを増し,腸間膜付着部の反対側に分布する.
一般的にPeyer板は長さ4~5cm,幅1cmの小判型で,形状は雑多であり,肉眼的に認識が困難なものも多いとされるが,
腸管の長軸に沿った網目像や顆粒物(リンパ小節)の集合する長楕円形のわずかな隆起として認められ,同部でKerckring皺襞は消失している.
個数は年齢により異なるが,12歳頃に最多となり,その数は100を超える.
一般には,1個のPeyer板は20~400個のリンパ小節から構成されており,組織学的には,粘膜固有層および粘膜下層に腫大したリンパ濾胞が集簇して認められる2).
X線検査では,Peyer板は腸間膜付着対側にKerckring皺襞の消失を伴った周囲の絨毛像とは異なる顆粒像や粗な網目像として描出され,側面像では腸管壁の辺縁不整所見として認められる(Fig. 1).
内視鏡検査では,腸間膜付着対側に長軸方向に伸びる島状の顆粒状または平坦な蒼白調粘膜として認められる.
色素撒布やNBI(narrow band imaging)を併用すると,周囲粘膜とは絨毛構造,密度が明らかに異なる顆粒の集簇した領域として,明瞭に観察される(Fig. 2).