胃底から胃体にかけて広く分布する単一管状腺をいいます。なお、体部腺と胃底腺は同義語です。
幽門腺に比べると、分枝はあまり目立ちません。
体部腺は、おもに頸部粘液細胞 (副細胞)、主細胞、壁細胞、内分泌細胞から構成されています(Fig.1)。

Fig.1 成人胃体部粘膜の体部腺の横断像.
胃粘膜の連続水平断切片を作製し,ちょうど中層付近(腺体部)の横断像を観察したもの.ひときわ明るい細胞質と基底部に偏在した核を有する副細胞(青矢印)が見える.この細胞に隣接して,赤く染まる細胞質を有し,おむすび型の壁細胞(緑矢頭)が見える.これらに混ざって,淡い紫色に染まる暗調な細胞質を有する主細胞(黄矢印)が見える.なお,腺体部の切片ゆえ内分泌細胞はほとんどみられない.標本は50歳代,男性のH.pylori未感染胃.
〔二村 聡:胃の解剖用語(anatomical terminology of stomach).増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017.胃と腸 52:531-534,2017より転載〕
このうち、壁細胞は幽門前部~前庭部にもしばしば観察されます。
よって、主細胞の存在を、組織学的に体部腺と認定するための必須条件と考える立場もあります。
