先端透明フードは内視鏡の先端に装着する補助デバイスであり,主たる目的は至適距離および視野確保である.
歴史的に内視鏡の先端にフードを装着することは古くから行われ,標準装備であった時代もあったとされている1).
以前は黒色ゴム様の素材であったが,近年では透明あるいは半透明な硬質プラスチックや塩化ビニル素材が用いられることが多く,
形状も円筒形から斜型や先端爪型まである(Fig. 1~3).
先端透明フードの具体的な効果としては,前述の至適距離および視野確保による効果に不随するもので,
挿入性の向上2)~4),観察死角の軽減1),病変指摘率の向上5),攣縮した腸管での処置・観察のアシストが期待でき,
拡大内視鏡を用いた際のフォーカス合わせや,NBI(narrow band imaging)での簡易的浸水観察にも使用できる.
また憩室出血の際の出血点の検索,治療6)にも役立ち,
2012年4月から保険収載された大腸ESD(endoscopic submucosal dissection)の際にも粘膜下層の視野展開ばかりではなく,安全性の担保にも役立っている7).