概念
胃の内分泌細胞微小胞巣(endocrine cell micronest ; ECM)は,粘膜内の内分泌細胞が腺管外に集合体を形成したもので,
大きさは50μm程度(48.5±14.1μm,自験例ECM 3,057例の平均)で,卵円形から円形ないし索状形態を呈し,
萎縮胃底腺領域の粘膜深部に観察されやすい(Fig. 1).
自己免疫性胃炎(いわゆるA型胃炎)や高ガストリン血症に伴って高頻度に観察される.
通常,消化管クロム親和性細胞様細胞(enterochromaffin-like cells ; ECL細胞)と呼ばれる内分泌細胞群から構成される.
内分泌細胞微小胞巣の組織発生
ECMの組織発生については以下のように考えられている.
すなわち,(1) 胃底腺萎縮などによる胃酸分泌低下,
(2) 低胃酸に対するフィードバックによるガストリン値上昇,
(3) ガストリンの内分泌細胞に対するトロフィック作用の持続,
(4) 腺管内の内分泌細胞過形成および集簇,
(5) 内分泌細胞の腺管外への芽出および腺管自体の萎縮,
(6) 腺管外にECMの完成,の経路が想定されている(Fig. 2)1)2).