ELPS(endoscopic laryngopharyngeal surgery)は咽喉頭領域における鏡視下手術である.
咽喉頭表在癌は消化器内視鏡医が食道癌の重複癌検索の過程で発見してきたため,
食道粘膜癌に対するEMR(endoscopic mucosal resection),ESD(endoscopic submucosal dissection)が応用され,
機能温存を目的とした低侵襲治療が可能となった.
2004年,佐藤ら1)が彎曲型喉頭鏡にて喉頭展開を行って,経口的に鉗子を挿入し,内視鏡補助下に上皮下層剥離を施行するELPSを開発した.
適応
術前検査でリンパ節転移のない咽喉頭領域の表在癌.
手技
全身麻酔下に仰臥位とする.気管チューブを上口唇正中に固定する.
咽喉頭領域はworking spaceが狭く,視野の確保が困難であるため,佐藤式彎曲型喉頭鏡を用いた喉頭展開が必須である.
彎曲型喉頭鏡を内視鏡ガイド下に挿入し,先端を声帯の直上に位置させ,喉頭全体を挙上し,固定する.
喉頭を挙上すると咽頭から食道入口部までの視野が良好に展開される(Fig. 1).
経口的に内視鏡を挿入し,通常白色光観察とNBI(narrow band imaging)観察にて病変の全体像を観察する.
その後,拡大内視鏡にて病変内の血管変化を詳細に観察する.
1.2%ヨードを使用して咽頭全域にヨード染色を施行して,病変の範囲と副病変の有無を精査する.
切除範囲が決定したら,経口的に挿入した電気メスで病変境界の1~2mm外に凝固モードにて全周マーキングを施行する.
アドレナリン加生理食塩水を局注し,マーキングの外側1~2mmを電気メス(end cutもしくはdry cut)で全周切開を行う.
経口的に挿入した鉗子で病変を把持し,適切なcounter tractionをかけ,電気メス(swift coagulation)で上皮化層を剥離して,病変を一括切除する(Fig. 2).