内視鏡的止血法には,(1) 機械的止血法,(2) 局注法,(3) 熱凝固法,(4) 薬剤撒布法があり,Table 1に詳細を示す.
そのうち代表的な止血法について,「消化器内視鏡ガイドライン」1),「消化性潰瘍診療ガイドライン」2)に基づき,各々の特徴を述べる.
かつては,純エタノールや高張ナトリウム・エピネフリン(hypertonic saline-epinephrine ; HSE)局注による止血が主流であったが,
現在は止血鉗子による凝固止血とクリップによる止血が多くを占めるようになっている.
クリップ止血法
止血クリップを用いて出血点,露出血管を直接把持・結紮して止血する機械的止血法である.
出血点が確認できる場合に用いられる.
組織傷害性が少なく,安全で確実な方法だが,潰瘍の観察が接線方向となる場合や線維化が進行した潰瘍の止血には有効でない.
純エタノール局注法
純エタノールの脱水,凝固,固定作用により,出血血管を収縮させ,血管壁の凝固・壊死,血栓形成を導く方法である.
純エタノールを血管周囲の数か所に0.1~0.2mlずつ局注する.強力な止血効果が得られるが,組織傷害作用が強いため,総量は1.5~2.0mlを超えないように注意する.
HSE局注法
エピネフリンによる血管収縮作用に加え,高張食塩水によるエピネフリン作用時間の延長,