内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR)は,
主に平坦な表在型腫瘍に対して用いられ,病変部をスネアで絞扼した後に高周波電流で切除する方法である.
ポリペクトミーと違い平坦な病変を絞扼するため,様々な方法が考案されている.
1983年に平尾ら1)が開発したERHSE(endoscopic resection with local injection of hypersaline-epinephrine)法は,
病変下に高張Naエピネフリン液を局注して周囲を高周波ナイフで切開し,把持鉗子で持ち上げながらスネアで絞扼するという画期的な方法で,
現在の内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)の原型となった.
1984年に多田ら2)が開発したstrip biopsy法は,
病変下に生理食塩水を局注した後,把持鉗子で持ち上げながらスネアで絞扼するという方法(Fig. 1)で,
その簡便さゆえに現在でも広く用いられている.
1993年に井上ら3)が開発したEMRC(endoscopic mucosal resection with a cap-fitted panendoscope)法は,
スコープ先端に透明キャップを装着し,キャップ内に病変部を吸引してスネアで絞扼するという方法(Fig. 2)である.
1チャンネルスコープで施行可能なことから一般に普及し,早期食道癌に対しても広く用いられるようになった.
吸引を用いるEMR法としては,このほかにチューブを用いたEEMR(endoscopic esophageal mucosal resection)-tube法や