Treponema pallidum (トレポネーマ・パリダム)の感染による咽頭病変です。
第一期では扁桃に硬結(初期硬結)が出現し、同部を中心に徐々にびらん・潰瘍化します (この潰瘍を硬性下疳といいます)。
潰瘍の増大、領域リンパ節の腫脹が目立つようになると、リンパ腫とたいへん紛らわしくなります。
治療法がまったく異なるリンパ腫を確実に除外すること、梅毒病変を確実に拾い上げること、この2点が病理医には求められます。
梅毒病変では小血管周囲に夥しい数の形質細胞が浸潤することが多く(Fig.1)、この所見に気づいたら迷わず抗Treponema pallidum抗体を用いた免疫組織化学染色を実施すべきです(Fig.2)。

Fig.1 咽頭の粘膜固有層の小血管周囲に多数の形質細胞が浸潤している (HE染色).

Fig.2 赤く発色する糸くず状の菌体が容易に視認される (抗Treponema pallidum抗体を用いた免疫組織化学染色).
なお、炎症巣に好中球がほとんど見られないか、あっても少数である点が特徴的です。
以前は、Warthin-Starry法により硝酸銀で鍍銀し、現像液で黒色に発色する手法を用いて黒色に染まる、糸くず状の菌体を根気強く探していました。
しかし、現在は、前述の免疫組織化学染色によって速やかに、かつ確実に菌を検出できるようになりました。
