大腸憩室疾患とは大腸憩室に合併する疾患の総称で,代表的なものは憩室出血と憩室炎であるが,他にも様々な病態がある.
憩室出血
高齢者での血便で重要な位置を占め,多くは無痛性である.憩室内のvasa rectaの機械的損傷によると考えられており,必ずしも憩室炎を伴わない.
憩室炎
憩室における化膿性炎症であり,微小穿孔により腸管周囲脂肪織炎や膿瘍を形成する.診断には腹部超音波やCTが有用である.内視鏡所見は憩室に一致した膿付着(Fig. 1),周囲粘膜の発赤,浮腫が特徴的であるが,腸管の伸展不良で観察できないことも多い.憩室炎を繰り返すと狭窄や瘻孔形成に至る(Fig. 2).
憩室性大腸炎(diverticular colitis)
憩室を伴う腸管の粘膜の慢性炎症全般を指し,発赤斑(Fig. 3),アフタ,顆粒状粘膜,潰瘍性大腸炎類似の多発小びらん(Fig. 4)など多彩な変化が含まれる.