大腸鋸歯状病変 (ガストロ用語集 2023 「胃と腸」47巻5号より)

serrated polyp

 大腸鋸歯状病変はSP(serrated polyp)やserrated lesionと呼ばれ,腺管が鋸歯状の管腔構造を呈する病変である.現在のところ病理組織学的にHP(hyperplastic polyp),SSA/P(sessile serrated adenoma/polyp),TSA(traditional serrated adenoma)と3つのカテゴリーに分類することが提唱されている1)(Table 1,Fig. 1).

 従来,大腸の鋸歯状腺管構造を有するポリープは病理組織学的に過形成性ポリープと診断され,非腫瘍性病変であり癌化の危険性はない病変と考えられていた.しかし近年,HPやSSA/Pを介した新しい大腸癌の発癌経路である“serrated pathway”2)3)が提唱されるようになり,特にSSA/Pとされる病変は右側結腸に発生する遺伝子不安定性(microsatellite instability ; MSI)陽性大腸癌の前駆病変とされ注目されている.しかしわが国におけるSSA/Pの診断基準はいまだコンセンサスが得られておらず,現在,大腸癌研究会プロジェクト研究において検証中である.またその内視鏡診断についても学会・研究会にて種々報告されている最中である.

Table 1 大腸鋸歯状病変の分類(WHO 分類)
Table 1 大腸鋸歯状病変の分類(WHO 分類)

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Fig. 1a 大腸鋸歯状病変の病理組織像.hyperplastic polyp(弱拡大). 
Fig. 1a 大腸鋸歯状病変の病理組織像.hyperplastic polyp(弱拡大). 

Fig. 1b  大腸鋸歯状病変の病理組織像.hyperplastic polyp(強拡大).
Fig. 1b  大腸鋸歯状病変の病理組織像.hyperplastic polyp(強拡大).