近年,X線装置のデジタル化に伴って,各種の検出器が製品化されてきた.
1980年前後のCR(computed radiography)に始まり,80年代後半にはimage intensifier/TV系を用いたII-DR(digital radiography),
90年代後半には新しい装置として平面検出器(flat panel detector ; FPD)が出現した(Fig. 1)1).
FPDの構造は,電気信号を処理する薄膜トランジスタ(thin film transistor ; TFT)の前面に
X線を電気信号に変換するX線変換部を貼り付けたものである(Fig. 2).
FPDではX線を電気信号へ変換する方法が2通りあり(Fig. 3),
1つはセレン(Se)を用いてX線エネルギーを直接電気信号に変える直接変換方式,
もう1つはX線エネルギーをヨウ化セシウム(CsI)によって光エネルギーに変換し,
その光エネルギーをTFTとCsI層の間にあるフォトダイオードで電気信号に変換する間接変換方式である.
間接変換方式は信号の変換過程が直接方式よりも1回多く,光エネルギーがフォトダイオードに入る手前で光の拡散が起きるため直接変換方式のほうが画像は鮮鋭であった.
しかし,間接変換式のほうが安価で,かつ安定した生産が行えるうえ,稼働後も温度などの影響が少ないので管理が簡単なため,両方式が採用されていた.
その後,間接変換方式装置の改良や画像処理ソフトの開発が行われ,画像精度が直接変換方式と遜色ないレベルまで向上した.
今後,消化管領域では間接変換方式が主流になると考えられる.
FPDは従来のX線フィルム・増感紙撮影系(conventional film-screen system)と比べると,