幽門腺(二村 聡の消化管病理用語集)

pyloric glands

幽門前部から前庭部にかけて分布する単一管状腺をいいます。

腺の構成上皮のほとんどは粘液細胞で、その間にガストリン産生細胞 (G細胞)が少数分布しています。

そのため、典型的な粘液腺の形態を呈しています。

粘液細胞は基底側に偏在する扁平な核と好酸性微細顆粒状の豊かな細胞質を有し(Fig.1a)、胃噴門腺や十二指腸腺(Brunner腺)の粘液細胞と同じ形態を示します。

 


Fig.1 成人胃前庭部粘膜の幽門腺の縦断像.
粘液細胞は基底側に押しつけられた扁平な核と明るめの細胞質を有し,腺底部では種々の程度に分枝している.また,本例のように固定条件が良好な場合,細胞質内に微細な粘液顆粒が視認される(a).粘液細胞の細胞質内粘液顆粒は,抗MUC6抗体を用いた免疫組織化学染色で標識される(b).標本は40歳代,男性の胃.
〔二村 聡:胃の解剖用語(anatomical terminology of stomach).増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017.胃と腸 52:531-534,2017より転載〕

 

これらの細胞はMUC6をコア蛋白とする粘液のほか、ペプシノーゲンとリゾチーム (ムラミダーゼ)を産生・分泌します。

一方、G細胞は円い小さな核と抜けるように明るい細胞質を有し、抗ガストリン抗体を用いた免疫染色ではっきりと視認されます(Fig.1b)。

 

 

 

 

 

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著者

  • 二村 聡 : 福岡大学筑紫病院病理部・病理診断科

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