“手つなぎ型腺管癌”とは,胃癌の組織像において,細胞異型が弱く,
腫瘍腺管同士があたかも手をつなぐように不規則に分岐・融合しながら,
粘膜の中間層を中心に広く進展する癌のことを示す(Fig. 1).
この組織像は低異型度分化型胃癌に属し,組織学的に癌と診断することが難しく,
特に生検組織のような限られた標本の観察では診断に至らない可能性があり,注意が必要な病変である.
このような組織像は,半世紀近く前からすでに太田,中村らによって,“XYH状腺管”として注意すべき構造異型の表現形として報告されていた.
加藤1)はこの所見を“手つなぎ型腺管癌”と称したが,さらにはこの特異的な構造異型を“WHYX lesion”とも述べている.
他の呼称としては,2002年の伴ら2)による“irregularly fused(anastomosing)glands”,2003年の滝澤3)による“横這型胃癌”があるが,