断端とは切除術が施行された際の切除端のことであり,
断端の評価は切除の根治度評価のみならず,内視鏡切除の追加切除の適応決定のために重要である.
切除断端の記載は手術切除標本と内視鏡的切除標本について,取扱い規約でそれぞれ記載の方法が定められているが1)~3),
本稿では近年需要が高まっている内視鏡切除標本の断端について記述する.
内視鏡摘除標本における断端
内視鏡摘除標本における断端の記載は,
食道癌,胃癌,大腸癌で細かな記述に多少の差異はあるが,現行の規約では概ね統一される(Table 1, Fig. 1).
「食道癌取扱い規約」1)では,pHM0は“すべての水平切離断端に非癌扁平上皮と粘膜固有層が確認される”と記載がより明確であり,
断端部の“癌の露出”の有無により評価することが明記されている.
また,“切離断端に脈管侵襲の存在する場合は,切離断端陽性(pHM1,pVM1)とする”ことが付記されている.
加えて,分割切除例における切離断端陰性の判定は,再構築が可能で,かつ病変周囲に非癌組織が確認できる場合に限ることも明記されている.
「胃癌取扱い規約」2)では,水平断端の記載はLMからHMに変更され,評価の仕方も(-)/(+)の記載から変更となっている.
「大腸癌取扱い規約」3)では,VM0,HM0の場合,断端から癌までの距離を記載することが付記されている.
また,癌と腺腫成分が共存する病変で腺腫腺管のみが切除端に及んでいるときはHM0(腺腫成分陽性)と記載する.
腺腫のみの病変でも切除端に関して明記する.
切除断端評価の問題点
正確な断端診断を行うためには,