未感染(二村 聡の消化管病理用語集)

文字通り、「これまで一度もH. pyloriに感染していない胃粘膜」を言います。

「未感染」という用語は、内視鏡医が診療の現場で好んで使っている、いわば業界用語みたいなものです。
より厳密に表現するなら、「H. pylori未感染の状態」でしょう。
臨床医の間で合意形成がなされている英語をあえて挙げるなら、「naïve」です。

実臨床では、H. pylori感染判定法 (2項目以上)がいずれも陰性、除菌治療歴がない、胃角小彎にRAC (regular arrangement of collecting venules)が観察される、などを根拠にして「未感染だろう」と判断していることが多いです。

病理診断の立場からは、「胃腺の萎縮(減少)がほとんどなく、腸上皮化生や(偽)幽門腺化生を伴っていない状態の胃粘膜」と仮に定義できます。

なお、胃粘膜の固有層には生理的に(少数の)小円形細胞 (リンパ球や形質細胞)が分布していることから、組織学的には「上皮に萎縮・化生がなく、固有層に小円形細胞が目立たない胃粘膜」と表現するのが適切です。

 

 

 

 

 

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著者

  • 二村 聡 : 福岡大学筑紫病院病理部・病理診断科

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