潰瘍性大腸炎は“主として粘膜を侵し,しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症である”と定義されている.潰瘍性大腸炎の診断で特異的なものはなく,臨床症状,画像診断(主に内視鏡),生検組織学的検査などを総合して診断する.また,感染性腸炎や他の炎症性疾患を除外しなければならない.厚生労働省難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(渡辺班)の診断基準をTable 1に示す1).
内視鏡による重症度分類の軽度は血管透見消失,粘膜細顆粒状,発赤,小黄色点などである.中等度は粘膜粗糙,びらん,小潰瘍,易出血性(接触出血),粘血膿性分泌物付着など(Fig. 1),強度は広範な潰瘍,著明な自然出血などである(Fig. 2).これらの内視鏡所見が,直腸からびまん性,連続性に拡がることが潰瘍性大腸炎の特徴である.一方,非連続性病変もしばしば認められることも認知されている.