Nakamuraら1)により報告された大腸の非腫瘍性有茎性ポリープである.高齢者の男性に多く発生する.主訴は血便あるいは便潜血で,発生部位はS状結腸を中心とした左半結腸で,30mmまでの大きさで単発性である.球状ポリープで,90%が長い茎を有する.ポリープ表面は平滑で白苔を伴ったびらんがみられる.内視鏡では傷んだイチゴ状のポリープとして観察される(Fig. 1).原因は不明であるが,微小な過形成性病変に慢性の刺激が加わり病変が形成されるものと思われる.
組織像は炎症性肉芽組織様の粘膜固有層内に嚢胞状拡張を伴う過形成腺管と,粘膜筋板由来の平滑筋の放射状増生がみられる(Fig. 2).腺管の嚢胞状拡張が著明な症例は過去には若年性ポリープと誤診されていたが,放射状の平滑筋の関与がある点で鑑別が可能である.粘膜脱症候群や憩室症に合併するポリープ,‘cap polyp’などと同様なポリープとの記載もあるが2),肉眼像や組織像からそれらとは全く独立した疾患である.悪性化はない.