内視鏡検査では,管腔を拡張させなければ病変を発見,観察,あるいは治療を行うことができない.
拡張には通常は空気(room air)を用いているが,近年,room airに変わって炭酸ガス(CO2)を用いることの有用性が報告されてきた.
炭酸ガスとは常温で気体であり,無色,無臭,水溶性に優れた特性をもっているが,
この特性により消化管内で炭酸ガスは吸収され,呼気中に排出されると考えられ,結果的に15分程度で消化管内から消失するとされている.
そのため消化管の膨満が解消され,被験者の苦痛軽減をもたらしている1)~4).
筆者ら5)が行った大腸内視鏡検査における空気と炭酸ガスによる前向き二重盲検試験の検討では,検査終了時に既に8割の被験者が疼痛,腹部膨満感を自覚しておらず,
検査直後から3時間まで統計学的に有意差をもって炭酸ガス群のほうが疼痛,腹部膨満感の軽減を認めた(Fig. 1).
さらに盲腸到達時間に関しても炭酸ガス群のほうが有意差をもって早かった.
これらはいずれも炭酸ガスが消化管内から消失したことにより導かれていると考える.
また内視鏡検査において炭酸ガスを用いることの安全性に関して,同時に行った経皮的二酸化炭素分圧(pCO2)の測定で空気群と炭酸ガス群ともに検査中には上昇していたが,