特殊型胃炎という明確な定義はないが,Crohn病に代表される肉芽腫を生じるような胃炎を指して用いられることが多い.
胃に肉芽腫性病変を認めた場合,Crohn病を含めた胃梅毒,胃結核,サルコイドーシスなどのまれな疾患を考慮して鑑別診断を行うことが必要である.
これらの疾患では胃に不整な潰瘍・びらんを主体とする粘膜病変を生じることが多い.
胃梅毒ではしばしば心窩部痛を伴い,病変は幽門前庭部に好発し,
X線像では同部の全周性漏斗状狭窄,内視鏡では易出血性の浅い不整形の多発潰瘍やびらんを呈し,
時に副病変として胃体部に梅毒性皮疹類似の粘膜病変を伴うなど,X線・内視鏡の特徴的所見から診断可能なことが多い(Fig. 1, 2).
ただし,これらの病変は肉芽腫を伴わない早期(第2期)梅毒の胃病変であり,
今日本邦では肉芽腫を形成するほど進行した梅毒(第3期)の胃病変に遭遇する機会はほとんどない.
一方,胃の結核やサルコイドーシスでは特有な症状や好発部位はなく,
病変も多彩な形態を呈するためX線・内視鏡所見のみから診断することは困難なことが多い.
このため,結核の診断では胃病変部からの結核病巣(乾酪壊死および類上皮性肉芽腫,
結核菌〔MGIT(mycobacteria growth indicator tube)培養やDNA-PCR〕の証明,
ツベルクリン反応やクォンティフェロン検査,随伴する他臓器(肺,回盲部)病変の検索などから,
サルコイドーシスでは肉芽腫の特徴(比較的大きさのそろった乾酪壊死や融合傾向のない肉芽組織,Fig. 3)や