従来から胃癌のうち高頻度に出現する腺癌を一般型とし,そのほかを特殊型としてきた.
それらは単に頻度が低いというだけでなく,組織発生や悪性度など特異なものが多い.
「胃癌取扱い規約第14版」1)に掲載されている特殊型胃癌には,
カルチノイド腫瘍,内分泌細胞癌,リンパ球浸潤癌,肝様腺癌,腺扁平上皮癌,扁平上皮癌,未分化癌
およびその他の癌(絨毛癌,癌肉腫,浸潤性微小乳頭癌,胎児消化管上皮類似癌,卵黄嚢腫瘍類似癌)が含まれている.
WHO分類2)では,浸潤性微小乳頭癌の記載がないが,それら以外のさらにまれな特殊型胃癌が列挙されている.
また,カルチノイド腫瘍と内分泌細胞癌は内分泌腫瘍として別項立てになっている(Table 1).
なお,「胃癌取扱い規約第13版」3)ではリンパ球浸潤癌は低分化腺癌・充実型(por1)に含まれていたが,
EB(Epstein-Barr)ウイルス感染との関連が強いことや比較的予後良好であることから,第14版からは特殊型に分類されるようになった.