内視鏡観察時,十二指腸あるいは小腸にびまん性あるいは皺襞主体の淡い白色調粘膜を示すものを白色絨毛(white villi,Fig. 1),
撒布性に小さく明瞭な白点を示すもの撒布性白点(scattered white spots,Fig. 2)と呼んでいる1)2).
いずれの白色調変化も,腸に吸収された食事性脂肪の転送障害を反映している2).
白色絨毛では,吸収された脂肪の絨毛粘膜におけるリンパ管(中心乳糜管)への吸収転送障害が原因となっている.
撒布性白点では,絨毛の中心乳糜管から中枢側への転送障害あるいは遅延が原因となり,中心乳糜管が拡張し白点を示す.
腸の中心乳糜管には弁がないため,腸リンパ管拡張症では中枢側リンパ管の狭窄により末梢側リンパ流障害とリンパ管拡張が生じ,白色絨毛や撒布性白点を認める.
白色絨毛と撒布性白点は必ずしも病的所見ではなく,健常者でも観察されることがある(Fig. 3)3).