経鼻内視鏡検査とは,経鼻ルートで挿入して,上部消化管を観察する内視鏡検査法である.
2002年以降CCD(charge coupled device)センサーの小型化が進み,スコープ径を6mm未満の太さにまで細径化でき,
さらに経鼻ルート通過のために先端硬性部を短くし,軟らかくしなやかなシャフトが作成可能になったことから普及が進んでいる.
特に無症状者を対象とする住民検診や人間ドックで使用される機会が増した.
咽頭,食道入口部への刺激が少ないことから,分泌物を少なくさせる目的に経口内視鏡で投与する抗コリン剤が不要で,鎮静剤を使用するような苦痛がなく,心血管系や呼吸器系への負担が少ない.
頸部食道通過の際の不快感を除いて,苦痛が少なく安全性が高い上部消化管内視鏡検査が実施できる.
経鼻ルートで挿入するために経口内視鏡に比べて手間と時間がかかる前処置が必要となる.
蛋白融解剤(プロナーゼ)を含むガスコン水飲用は必須であり,鼻腔拡大の目的で硝酸ナファゾリン噴霧を行い,さらにスティック法によるリドカイン麻酔を付加する方法が一般的である1).
硝酸ナファゾリン噴霧からスコープ挿入まで15分間の時間を空けなければならない.
画像の鮮鋭度が低い(Fig. 1, 2),鉗子チャンネルが細いため吸水に時間を要し,スコープの腰が弱く,操作性が悪いために生検が偽陰性となる確率が高いなどの欠点も報告されている.
何よりも標準的な消化管の観察方法が定まっていないことやメーカー間で機種性能に差があり,経鼻内視鏡と一括りにできないことなども指摘されている.