胃癌の肉眼型分類　(ガストロ用語集 2023 「胃と腸」47巻5号より)

日本胃癌学会の「胃癌取扱い規約」では，

胃癌の肉眼型を0型から5型に分けている（Fig. 1）1）．

すなわち，早期癌によくみられる肉眼型は早期胃癌の肉眼型分類に準じて0型（表在癌）とし，

進行癌によくみられる形態はBorrmann分類が改変された1～5型に分類される．

しかし，この分類はあくまでも胃癌の切除標本の肉眼型分類であって，

病理学的検索にて判明する深達度には関係なく，深達度が判明する以前の臨床分類では“推定”とし，

判明した後は深達度を併記すると記載されている．

実際には，病理診断が判明する以前に早期癌と推測される場合には，

0-I（隆起型），0-IIc（表面陥凹型），あるいは単にIIa，IIc，などと称され，

進行癌が念頭に置かれる場合には1～5型，またはIIc進行形などと表現されることが多い．

0型のうちIIa型は隆起の高さが2～3mmまでのもの，それを超えるものは1型，

IIb型は正常粘膜にみられる凹凸を越えるほどの隆起・陥凹が認められないもの，

IIc型はわずかなびらん，または粘膜の浅い陥凹が認められるもの，

III型は明らかに深い陥凹が認められるもの，とされている．

0型の混合型（1個の病巣が2つ以上の肉眼型より成り立っているもの）は，

I＋IIa，IIa＋IIc，IIc＋III，などと記載される（Fig. 2c）．

病巣を形作る肉眼型は，その部分に癌があってもなくても，その肉眼型を記載する（Fig. 2）．

肉眼分類上，以下の条項に留意すべきであろう．
（1） 肉眼分類の0型（表在癌）のオリジナルは内視鏡学会分類であるが，“内視鏡分類”ではない2）3）．

（2） 肉眼分類は適切に伸展固定された切除標本，または適切に撮影された切除胃標本肉眼写真で（標本の割面または病理組織標本を参考にして）行う．

（3） 生標本では認識できないIIb，IIc面が，固定標本では認識できることが少なくない．

（4） IIcの中の陥凹を伴わない潰瘍瘢痕などを表現するために，IIc＋（ULs）などと記載する場合もある3）

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